【修正版】午前8時のシンデレラ
瑠偉さんの目が怖い。
こういう時の彼には逆らわない方がいい。
「杉本みたいな思わぬ伏兵に足下すくわれたくないからね。売約済みの証をつけとかないと落ち着かないんだよ」
瑠偉さんは店員さんが持ってきた書類にサインをして立ち上がる。
「じゃあ、行こうか」
瑠偉さんは私にそう声をかけて腕時計に目をやった。
「ちょっと時間がある。歩こうか?足は大丈夫かな?」
私の手を掴んで彼は確認する。
多分靴擦れを気にしているのだろう。
「大丈夫ですけど、どこに行くんですか?」
「まあ着いてからのお楽しみ」
瑠偉さんは軽くウィンクする。
彼と手を繋いで店を出る。
ちょっとしたことだけど、少しワクワクした。
もうすぐクリスマスだけど、銀座の街は見てるだけでも楽しい。
他のブランドショップのウィンドーを眺めながら、彼と話をする。
これってデートっていうのかな。
彼と街を歩くのが嬉しい。
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