【修正版】午前8時のシンデレラ
私は会食の事もすっかり忘れ、この時間を楽しんでいた。
左手の薬指にはキレイな指輪。
「瑠偉さん、指輪ありがとう」
何度も指輪を見ていると、瑠偉さんは甘く微笑んだ。
「気に入ったみたいで良かった。会社にもつけてて。これ上司命令」
「公私混同してますよね」
私がちょっと赤面すると瑠偉さんが悪戯っぽく笑った。
「これくらい役得がないとね」
甘いムードのままある建物の前まで来た。
「会食ってここですか?」
本来の目的を思い出して瑠偉さんの顔を見ると、彼は目で軽く頷いた。
そこは有名な飲茶のお店だった。
お店の中に入ると、チャイナ服を着た女性定員に奥の個室に案内された。
高価そうなスーツに身を包んだ男性がひとり、笑顔で迎えてくれた。年は五十代くらい、黒髪の癖っ毛で、肌は日に焼けていて小麦色。
「急にお呼びだてしてすみません」
瑠偉さんが完璧な営業スマイルでその男性に声をかける。
誰だろう?
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