【修正版】午前8時のシンデレラ
個室に通され、ロココ調の花柄の可愛いソファに座ると、カタログを差し出された。
「この度はおめでとうございます。お好みのデザインは何かありますか?」
デザイナーさんが私ににこやかに声をかける。
「……正直、何も考えてなくて」
プロポーズされたのだってつい数日前だし、それに養女の話とか考えることがありすぎて、結婚式のことまで考える余裕がなかった。
「あら、そうなの?じゃあ全部見せてもらいましょうよ。良いわよね?」
詩織さんはデザイナーさんと知り合いなのか、デザイナーさんも快く承知してくれた。
デザイナーさんの指示で二百着前後のドレスが私の目の前に並ぶ。
純白のマリエに、ピンク、赤、青、紫などのソワレ。
見ているだけで夢の世界に行きそうだ。
女の子の夢が詰まった空間。
「芽依ちゃん、まずはウェディングドレスから試着してみましょうよ」
「はい」
この時ばかりは素直に返事した。
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