【修正版】午前8時のシンデレラ
不眠症でいつもは睡眠導入剤を飲まないと寝れないのに、夢中になりすぎて自分がいつ眠ったのかさえ覚えていない。
ホント、俺らしくない。
彼女は甘美な眠りを与えてくれた。
「……参ったな」
頭の中が彼女で一杯だ。
三十年生きてきて、こんなに女性に嵌まったことはない。
女なんてうざくて面倒くさいとずっと思ってた。
自惚れているわけではないが、この容姿と家柄のせいか女にはよくモテる。
言い寄ってくるしつこい女共にはいつもうんざりしていた。
会社ではプレイボーイと噂されているようだが、俺に近づいてくる女など相手にしたことはない。
正直視界に入れるのも嫌だ。
だが、そんな考えを初めて変えてくれた彼女は俺の前から消えてしまった。
そう言えば、彼女の名前も知らなければ、連絡先も知らない。
「こんなことなら昨夜連絡先を交換しておけば良かった。俺も意外とヘタレだな」
いまさら後悔しても遅い。
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