【修正版】午前8時のシンデレラ
「お前、何ボーッとしてんだ?役員会議の時も呆けてたよな?品行方正な王子の仮面剥がれてるけど」
彼女が忘れていった鍵をじっと眺めていたら、悪友であり部下でもある佐久間に頭を書類で叩かれた。
佐久間隼人は学生時代からの俺の親友で、勤務先も一緒。
家族ぐるみでも仲良くしていて、お互い気心がしれている。
「上司を叩くってどんな部下かな?」
軽く頭を押さえながら佐久間を睨む。
「こっちはお前のアシスタント見つけるのに苦労してるんだ。感謝しろよ。ほらリスト。今日中に決めろ。でないと俺の仕事が増えて過労死するだろ」
悪態をつきながらも、佐久間は笑ってアシスタント候補リストを手渡す。
「お前が過労死するほどの量の仕事を頼んだ覚えはないが」
それに、残業時間は俺の方が多い。
過労死するなら俺の方が先だろう。
冷ややかに否定して、リストに目をやる。
仕事さえちゃんとしてくれれば八十歳のおばあさんでも構わない。
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