【修正版】午前8時のシンデレラ
媚びるような女、勘違い女、仕事しない女は遠慮したい。
そんな投げやりな気持ちでパラパラとリストに目を通すと、一枚の履歴書に釘付けになった。
「これ……」
彼女だ。
眼鏡をかけて髪もひとつに束ねていて、あの夜の彼女とかなり印象が違うが間違いない。
間違える訳がない。
だが、この眼鏡の顔も知っているような気がする。
「……見つけた」
思わず笑みがこぼれる。
結局ホテルのフロントでは情報がえられなかったが、ここで見つけるとはな。
俺も運がいいのかもしれない。
総務部……東雲芽依。
やはり同じ会社の社員だった。
彼女は何故逃げたのだろう?
行きずりの関係だと思ったから?
社長の甥の一条瑠偉と知って世間の噂通りすぐに捨てられると思ったから?
それらの可能が高い。
だが、俺を本気にさせた彼女が悪い。
見つけたからにはもう逃さない。
本気で奪いにいく。
< 174 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop