【修正版】午前8時のシンデレラ
彼女が忘れていった鍵を再度眺め、ぽつりと呟く。
「……本気か?お前独身主義だったよな?」
余程自分の発言が意外だったのか正気か?と佐久間は俺をガン見して何度も問いかける。
「彼女以外は結婚する気がないから、お前も協力しろよ」
「そんな悪魔みたいな微笑浮かべるなよ。……なんか東雲さんが不憫になってきた。こんな腹黒男に目を付けられて」と佐久間はぶつくさ呟く。
ひどい言われようだが、否定はしない。
「悪魔と言われようが手に入れる」
さあて、どうアプローチしようか。
スーツのポケットに鍵をしまい、頬杖をつきながら微笑む。
そんな俺の顔を見ながら、佐久間が苦笑した。
「魔王降臨だな。今頃、東雲さん悪寒がしてるんじゃないか?今度の日曜の見合いはどうする?」
彼の話に顔をしかめた。
「断るに決まってる。時間の無駄だね。なんならお前が行けば?釣書、さっきそこのゴミ箱に捨てたけど」
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