【修正版】午前8時のシンデレラ
「その言葉、覆すなよ。まずは側に置いて逃げないように、外堀から埋めていくか」
俺のプランを聞いて彼は引いていた。
「一条怖すぎ。やっぱりお前、顔は似てないけど詩織さんの子だな」
「チャンスは自分でつくるものだろ。もたもたしてると他の男に奪われる」
「なんか蜘蛛の巣に絡んだ蝶が想像できるが」 
「なんとでも。手段は選ばない」
俺の目には東雲芽衣が見えていた。
再会したら彼女はどんな表情をするだろう。
そう言えば、俺が付けた痕はどうなっただろうか?
自分では見えない位置だし、気づいてないかもしれない。
彼女に会うのが楽しみだった。



その日の夜、俺はまだ会社にいた。
役員室のあるフロアは静まり返っている。
俺はそのフロア一番奥の部屋のドアをノックした。
そのドアには何のプレートもない。
定時内は鍵がかかっていて誰も入れない。
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