【修正版】午前8時のシンデレラ
よくよく彼女の手を見ると、猫にやられたようなひっかき傷があった。
だが、ちょっと抉られてて痛そうだ。
彼女が何か言ってるが、言葉はスルーした。
この傷の方が気になる。
「この手の傷、どうしたの?今出来たものじゃないよね?」
心配で少し強い口調になっていたかもしれない。
「ちょっと躾のなってない猫にやられました」
彼女は困ったような顔をして渋々答える。
躾のなってない猫……ああ、そういう事か。
専務の秘書の事か。
専務から少し話は聞いていた。
彼の予定を押さえるのに、彼女と専務の秘書がもめたらしい。
「秘書室の化け猫か」
俺のものに傷をつけるなんて許せない。 
専務秘書の異名を舌打ちする様に呟けば、芽衣は驚いていた。
このままにはしてはおけない。
救急箱を取り出し、彼女に消毒したか確認する。
「……いいえ。軽い怪我なので大丈夫です。一条さんは寝てて下さい」
軽い怪我?
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