【修正版】午前8時のシンデレラ
こんな痛がってるのに?
「軽い怪我なら手をちょっと掴まれても痛いなんて叫ばないよ」 
専務の秘書に対して怒りが込み上げる。
消毒薬を丁寧に塗っていくが、かなりしみるのか彼女は顔をしかめた。
この責任は俺にもある。
「今まで秘書室は近づきたくないから放置してたけど、もう限界だな」
秘書室の改革が必要だ。
幹部の仕事にも支障が出るなら尚更放置出来ない。
とりあえず、姉に秘書室に入ってもらって様子を見るか。
叔父には一言言っておけばいいだろう。
姉はあの性格だし、社長の姪に逆らう馬鹿はいないはずだ。
彼女の治療を終えると、急に睡魔が襲ってきた。
彼女の桜のお香のせいだろうか?
抑えていた本性が出る。
魔性の笑みを浮かべ、彼女を捕らえた。
「俺を取締役会議まで眠らせたいんだよね?やっぱ枕がないと眠れない。膝枕して」
彼女は驚いていて何も言えなかった。
否定の言葉はない。
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