【修正版】午前8時のシンデレラ
「東雲さん、どうしたの?」 
一条さんが、私の顔を心配そうに覗き込んでくる。
ち、近いです、一条さん。
身体が硬直して後ずさりも出来ないんですけど、どうすればいいの?
鼻と鼻が触れそうなところに一条さんの顔があって、目線を無理やり合わせられた。
「……すみません。ずっと総務部だったので緊張してしまって。今日からよろしくお願いします」
おどおどしながらもなんとか言葉にすると、一条さんのクスッという笑い声が聞こえた。
「狼みたいに食べる奴はいないから安心して。それより……」
突然、一条さんを纏う空気が変わった。
一気に氷点下になったような。
眼光も鋭い。
これは獲物を狙う悪魔じゃないの?
佐久間さんが魔王と言った意味が少しわかった気がした。
狼より厄介だよね。
「桜のお香の匂いがする。東雲さんの雰囲気に合っていていいね。安心するよ」
「……ありがとうございます」
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