【修正版】午前8時のシンデレラ
「怖じ気づいても彼女のあの控えめな性格なら仕方ないか」
家がどうとか、認知がどうとか、俺にとってはどうでもいい話なのに。
「芽依がいれば後は何もいらないのにな」 
心からそう思う。
でも、世間や本人が気にするとなれば、彼女の不安をなくしてやる必要がある。
俺が諦めるなんて選択肢はない。
なら、どうすれば彼女を守れるか。
俺に出来るのは橋渡し役。
東雲グループの会長は芽依の祖父。
会長は頑固で取っつきにくいが、息子の社長は温厚な人柄で話もわかる。
昨夜、俺は東雲グループの社長と電話で話をした。
好感触だった。
彼も芽依の事を気にしてコンタクトを取ろうとしていたようだった。
タイミングが良い。
すぐに彼と食事の約束を取り付けた。
東雲家の問題が解決すればこちらも安心だ。
ふと時計を見れば午前ハ時過ぎ。
部屋の外でカツカツとヒールの音が響く。
芽依が出勤してきたようだ。
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