【修正版】午前8時のシンデレラ
もう足音だけで彼女とわかる。
芽依は俺がもう出社してるとは思っていないだろう。
彼女は俺を避けたいようだが、俺は手放すつもりはない。
今もそしてこれからも……。
「行くか」
手の中の鍵をギュッと握り締め、部屋を出る。
パソコンが立ち上がっていたが、芽依のデスクのところに彼女の姿はなかった。
だが、人の気配はまだする。
どこに行った?
オフィス奥までゆっくり歩く。
すると、話し声が聞こえてきた。
芽依の声と……若い男性の声。この声は杉本か?
和やかな雰囲気ではなさそうだ。
一体何を話してる?
俺は気配を消してゆっくりと近づく。
「最近、髪下ろしてばっかりですね。悪い虫がずっと悪戯してるんじゃないですか?」
杉本が芽依に近づき、彼女の首筋に触れていた。
奴は俺が彼女につけた痕に気づいたようだ。
杉本の行動はまさに狼。
あいつ……俺のに何する気だ。
怒りがこみ上げてくる。
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