【修正版】午前8時のシンデレラ
今の自分なら視線だけで杉本を殺れそうな気がした。
芽依は震えていた。
「やっぱり。痕さらに増えてるんじゃないですか?悪い虫って一条さんですよね?噂通り結婚するんですか?」
俺の事を悪い虫扱いか?
「す、杉本くんには関係ない。手、離して!」 
「迷ってるなら僕にしませんか?研修の時から好きだったんです」
杉本の奴、全く油断も隙もない。
迷わせてたまるか。 
これ以上、奴に触らせるわけにはいかない。
芽依だってもう限界のようだった。
「私は……」
芽依が口を開いた時だった。 
「芽依」
俺は彼女の名を呼んだ。
杉本にわからせるためにも、あえて名字ではなく名前で呼んだ。
そして、杉本が受け取る事を確信してあの鍵を投げた。
予想通り、杉本が鍵を受け取る。
「ホテルに忘れたよね?」 
芽依を安心させるためにも、余裕の表情で彼女に微笑んだ。
杉本は昔の俺に少し似ている。
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