【修正版】午前8時のシンデレラ
そんな奴を見て若いなって思った。
「じゃあ、なんでその時手に入れなかった?その程度の気持ちだったんだろ?」
「僕があなたの立場なら躊躇うことなく手に入れてました」
「立場って?いまお前が言ったよね?恋愛に上司とか後輩とか関係ない。その時行動しなかった時点で終わってるよ」
俺は容赦なく杉本にとどめを刺した。 
すると、奴は自分の負けを認めたのか急に怯んだ。
「……東雲さんはいいんですか?一条さんでいいんですか?」
「ごめんね、杉本くん。私、瑠偉さんが好きなの。不釣り合いかもしれないけど、自分でもこの気持ちどうにも出来ないの」
「僕じゃ駄目なんですね。一条さん、この鍵、わざと僕に受け取らせましたね?」
杉本は手の中にある鍵を再びジッと見た。
形の違う鍵がふたつ。
鋭い奴ならその意味をすぐに悟る。
「さあ?」 
不敵な笑みを浮かべ、俺はとぼける振りをした。
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