【修正版】午前8時のシンデレラ
「社長、あと五分後に出ます。一条部長も早めに切り上げてください」
相変わらずロボットのような奴。
感情を表に出さない。
姉とは真逆で、俺が嫌いなタイプだ。
「もう終わるから問題ない。それから、近々結婚する予定だから社長の予定の調整とかいろいろ頼むよ」
穏やかに微笑んで頼んだが、彼はチクリと嫌味を言った。
「それはおめでとうございます。それにしても急な話ですね。社長は二件海外出張の予定もありますし、そういう話は少なくとも一年前にはご連絡頂かないと」
一年も待てないよ、この根暗眼鏡!
東山の言葉にイラッとし、心の中で罵った。
こいつだけは俺が社長になっても自分の秘書にはしない。
いくら仕事が完璧でも、人間性にかなり問題がある。
「急で申し訳ないけど、そこを調整するのが君の仕事だ。頼むよ」
やんわりと笑顔で圧力をかけると、彼は渋々と言った顔で了承した。
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