【修正版】午前8時のシンデレラ
部屋に入ってすぐにあの桜のお香の匂いがした。
綺麗に片付いていて、フクロウとかうさぎの小物が棚に並んでいた。
本棚には背表紙が可愛い洋書が並んでいる。
姉のブランド尽くしの悪趣味な部屋と比べるのもなんだが、女の子らしい可愛い部屋だと思った。
「瑠偉さん、母です」
芽依がにっこり笑って紹介する。
棚の隣の小さな机の上には、彼女のお母さんがいた。
綺麗な人だった。
こちらに微笑みかけているかのような遺影は、やはりどこか儚げな印象を受けた。
眼がなんとなく芽依に似てる。
いや、芽依が似てるのか。
彼女はお母さんの遺影に向かって手を合わせる。
「お母さん、こちらは一条瑠偉さん。この指輪もね、今日瑠偉さんに頂いたの」
彼女は今日買った指輪を本当に嬉しそうに見せた。
「それに、瑠偉さんが叔父さんに会わせてくれたの」
俺も彼女のお母さんの遺影に向かって手を合わせる。
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