【修正版】午前8時のシンデレラ
嘘ではない。
父がフランス人ということもあり、父と母は俺や姉の前でも平気でキスをしていた。
大人になっても頬にキスは当たり前だし、人前だろうが愛情をしめすのに俺だって躊躇はしない。
「慣れるわけありません」
顔を真っ赤にして恥ずかしがる彼女は可愛い。
「俺、芽依だけ持ってうちにお嫁に来てくれればいいって言ったけど、あれ取り消す」
「えっ?」
俺の言葉に芽依の顔が一瞬にして青ざめる。
あっ、言い方が悪かったか。
「芽依」
芽依に向かって優しく微笑みかける。
「お母さんと一緒に家にお嫁においで」
「……ずるいです。何でそんなカッコイイ事言うんですか」 
芽依が俺を見上げる。
ああ、その眼は駄目でしょう。
おまけに瞳は潤んでるし……。
佐久間は俺のことを魔王と呼ぶが、これは……小悪魔だろう。
この上なく可愛い。
この誘惑には俺は勝てない。
無自覚なとこがまた凄い。
< 230 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop