【修正版】午前8時のシンデレラ
母は実年齢より若く可愛い印象で一見天然ボケに見えるが、実はかなり腹黒い。
彼女の行動はすべて計算されたものだ。
人の弱点も、相手がどう行動するかも全部計算した上で策を練る。
「俺が出張でオフィスにいないのを狙って、芽依を連れ出したな」
軽く舌打ちする俺の横で佐久間が母を褒める。
「抜かりないな。流石、お前の母親」
「あの人の暇つぶしに付き合わされる俺の身になってみろよ。お前も一緒に来い。家族同然だし」
「いや、俺は遠慮する。詩織さんはどうも苦手だ。お前の健闘を祈る」
「そんなこと言って、心の中で俺の不幸を笑ってるだろ?」
「まあまあ、鉄板焼きの店は俺が予約を入れておいてやるし、明日の朝一の部長会議も俺が代理で出てやるから。お前、明日はフレックスでいいぞ。ついでに東雲さんも」
佐久間は笑いを堪えてるのか、表情が崩れていた。 
こいつも面白がってるな。
明日覚えてろよ。
< 235 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop