【修正版】午前8時のシンデレラ
一条さんの話に驚かずにはいられなかった。
あののほほん部長が?
誰か違う人と勘違いしてませんか?
今の私はかなり間抜けな顔をしてるだろう。
だが、優しい一条さんはその事には触れず佐久間さんと共に海外営業部を出て行った。
ふたりの姿が見えなくなると、緊張が解けたのか床にへたり込む。
あー、この状況心臓に悪すぎだよ。
どのくらいそうしていたのかわからない。
一条さんは私だと気づかなかった。
安心してもいいはずなのに、何故か心が痛んだ。
会って気づかれるのを心の奥で望んでいたのだろうか。
本当、私って馬鹿だ。
「のほほん部長に給料泥棒なんていったけど、私も人の事は言えないな」
現実は待ってはくれない。
仕事をしなくちゃ。
一条さんが私の仕事にがっかりするのは見たくない。
両手で頬をパチンと叩き、自分に喝を入れると、自分の席のパソコンを立ち上げた。
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