【修正版】午前8時のシンデレラ
「瑠偉さん弾けるの?」
彼女に聞かれ、鍵盤に触れながら笑顔で答えた。
「遊び程度。芽依は?」
ピアノは小さい頃習っていて、簡単なものなら初見でも弾ける。
「私も簡単なのなら」
少しハニカミながら言う彼女に提案する。
「じゃあ、ふたりでやろうか。ショパンのノクターンは?」
俺が尋ねると彼女は小さく微笑んだ。
「なんとか弾けそう」
その笑顔がかわいい。
バーテンダーにシャンパンを持ってきてもらって乾杯すると、ショパンの曲をふたりで何曲か弾いた。
ミスタッチがあってもご愛嬌。
逆にそれが面白かったりして、お互い目を合わせて笑い合う。
三十分ほどピアノを楽しむと、ふたりで部屋に行き、母から渡されたカードキーで鍵を開けた。
綺麗な夜景が俺たちを迎えてくれる。
あの時と同じ夜景。
だが、今夜はあの時よりももっと強固になっている俺と芽衣の関係。
彼女の指には俺がプレゼントした指輪が光っている。
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