【修正版】午前8時のシンデレラ
根暗眼鏡のことを忘れていた!
佐久間と杉本を放置し、芽依の後を追うようにして社長室に向かう。
エレベーターを降りて社長室のあるフロアに着くと、芽依の後ろ姿が廊下の突き当たりの方に見えた。
足早に廊下を歩くと、東山の声が聞こえてきた。
どうやら根暗眼鏡に捕まってしまったらしい。
「人の物って余計欲しくなりますよね」
だが、芽依の様子がおかしい。
声も出さないし、動く様子もない。
いや、怖くて声も出ないし、動けないのか。
新婚早々芽依も災難だな。
結婚したからってこれで安心してはいけないのかもしれない。
「東山さん、僕の妻に手を出したら社会的に抹殺しますよ」
冷ややかに警告する。
慌てて芽依に駆け寄り、硬直化した彼女を背後からそっと抱き締めると東山を睨みつけた。
ホント、ムカつく男だ。
芽依は俺が来てホッとしたのか、身体の硬さも徐々に取れてきた。
東山も無言で俺を睨み返す。
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