【修正版】午前8時のシンデレラ
だが、パスワードを入力しても上手く起動しない。
内線で情報システム部の同期に頼んでパソコンの設定をしてもらってると、総務部にいた時に研修で教えた子が驚いたように立っていた。
「東雲さんじゃないですか?」
「杉本くん」
知ってる顔を見て思わず笑顔になる。
突然こんな花形部署に呼ばれて心細かったから、ちょっと彼に会って安心した。
ライトブラウンのサラサラな髪にぱっちり二重の目。
背が高くスラッとしていてカッコいい彼は、杉本卓人といって私の三つ下の後輩。
有名大学を主席で卒業した彼は、うちの会社でも海外営業部で出世コースを歩んでいる。
杉本くんを新人研修で指導した時、他の新人とは別格だと思った。
一を聞いて十を知るという飲み込みの早いタイプで、社会人としてのマナーもわかっていた。
頭も良く、顔も良く、性格もいいとくれば女も寄ってくる。
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