【修正版】午前8時のシンデレラ
「副社長の攻略法に、涙を止める方法は書いてないんですか?」
以前副社長に笑われたのがしゃくだったので、ちょっと意地悪してみた。
「う~ん、女性の涙は苦手なんだよね。一条くん、早く止めてあげて!」
やはりお手上げらしい。
まだおろおろしている。
「じゃあ、遠慮なく」
副社長たちに背を向けて芽衣を俺の胸に抱き寄せると、彼女の耳元で囁いた。
「ここでキスしたら、涙も止まるかな?」
芽衣の唇に触れながらにっこり微笑む俺と目が合うと、彼女はピタリと泣き止み赤面した。
「これで泣き止みました」 
フッと笑みを浮かべる俺を見て副社長は目を細める。
「ははは。仲がいいね。羨ましい。この調子なら、来年は君もパパかな?」 
「ご想像にお任せします」
不敵の笑みを浮かべる俺の横で芽依は口を押さえ、声にならない悲鳴をあげた。

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