【修正版】午前8時のシンデレラ
すかさず芽依に悪戯っぽく笑い返す。
色とりどりの花火が上がる中、彼女は背伸びをして俺の耳元で囁いた。
「来年はパパかもしれませんよ」
「え?」
芽依の言葉が衝撃的で、花火の音さえも一瞬耳に入らなかった。
パパ……。
思考も停止した。
しばらくして周囲の音が聞こえてくると、やっと芽依の言葉の意味を理解した。
「本当なの?」
「スケジュール帳見て、来るべきものが来てないのに気づいて、今朝検査薬試したら青い線がでたの」
芽依は嬉しそうにその時の状況を語る。
きっと、俺に報告するタイミングを図っていたのだろう。
母が何かを企んだ時のように、嬉々とした表情になった。
俺も喜びを噛み締める。
ここ数年涙を流した事のなかった俺だが、感極まったのか目に温かいものがこみ上げてきた。
自分でも自分がわからない。
「日本に戻ったら一緒に病院行ってくれる?」
 芽依が上目遣いで聞いてくる。
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