【修正版】午前8時のシンデレラ
「げ!あいつまた泊まったのか?」
佐久間さんはやれやれといった顔で溜め息をつく。
一条さんが会社に泊まるのは、珍しくないようだ。
私はまだ気づかなかったが、佐久間さんの説明によると部長室の奥にはシャワールームもあって、一条さんはスーツとシャツの替えも用意してるらしい。
「ああ。寝かしてやってくれ。今あいつに倒れられると困る」
自分の席に着く彼に笑顔で礼を言った。
「ありがとうございます、佐久間さん」
「こちらこそ、君がアシスタントで助かる」
彼はコンビニの袋から栄養ドリンクを取り出すと、私に構わず一気に飲み干した。よほど疲れているのだろう。
栄養ドリンクは一本千円以上するものだ。
私ならそんな高いのは買わない。さすが高給取りは違う。
「瓶捨てておきますね」
まだボーッとしている佐久間さんの手から瓶を受け取り、コミュニティースペースのゴミ箱に瓶を捨てると、自席に置いておいた膝掛けを手に取りそっと部長室に入る。
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