【修正版】午前８時のシンデレラ
一条さんは静かな寝息を立ててまだ寝ていた。
彼のデスクの上にサンドイッチと缶コーヒーとおしぼりを置き、一条さんに膝掛けをかけた。
少しでも長く眠れますように。
彼から離れようとしたら、突然手を掴まれた。
「痛い！」
思わず叫ぶと、一条さんはハッとした様子で目を開けた。
「ごめん。寝ぼけてた」
一条さんは謝るが、私の手を凝視したまま放さない。
「あの……私の方こそ大きな声出しちゃってすみません。佐久間さんたちとの打合せはずらしたので、取締役会議まで寝てて下さい」
疲れているのに起こしちゃって申し訳ないことをした。
「この手の傷、どうしたの？今出来たものじゃないよね？」　
寝てほしいのになぜ今その質問をするの？
声はソフトだけど、一条さんの眼光は鋭い。
西嶋さんとスケジュールのアレンジで揉めたなんて話はできない。そんなくだらない話をして上司の貴重な時間を無駄にするのは嫌だ。
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