【修正版】午前8時のシンデレラ
一条さん、一人称が『僕』から『俺』に変わってますよ。
ひょっとしてまだ寝ぼけてます?
嫌と言えずにいたら、一条さんが本当に私の膝に頭を乗せてきた。
「会議の十五分前に起こしてくれる?」
眠そうな声で頼み、私の返事も聞かずに彼は目を閉じる。
数秒後に一条さんの寝息が聞こえてきた。
相当疲れていたのだろう。
やっぱり彼は寝ぼけていたんだ。
そう結論づけてこの状況を受け入れる。
誰か部屋に入ってきたら誤魔化せない状況だというのに、ハラハラしながらも私はこの一時を楽しんでいた。
膝枕なんて、これが最初で最後だろうな。
一条さんが寝ぼけてなかったら頼む訳がない。
「おやすみなさい」
彼の前髪に触れながらそっと呟く。
少しでもあなたの疲れがとれますように……。
 
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