【修正版】午前8時のシンデレラ
あの上司には説教なんて出来る訳がない。
メールを見ていくと、私が帰った後に今一条さんたちが進めているプロジェクトで問題が発生したらしい事がわかった。
「東雲さん、おはようございます」
杉本くんがニコッと笑って声をかけてくる。
だが、彼もちょっと疲れが見えた。
「おはよう。昨夜は杉本くんも遅くまで残ってたの?」
杉本くんの手にはコーヒーがある。
「昨日はかなり大変でした。カフェインがないと会社でも寝る自信があります」
彼の話ではイギリスのアポロ社と合意した内容に顧客であるロシア政府が難色を示し、東京、モスクワ、ロンドンの三拠点でTV会議をして合意内容を再度検討したらしい。
「TV会議が終わったのが夜の十一時で、その後打合せをして深夜の零時に解散でした。このまま合意出来なければ、ソフト開発じゃないけどデスマーチ突入かと思いましたよ」
デスマーチって嫌なネーミングだな。
苦笑しながらも杉本くんの労をねぎらう。
「大変だったね」
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