【修正版】午前８時のシンデレラ

「一条さんと佐久間さんはもっと大変でしたよ。今日のランチミーティングの資料作り直しって言ってたし」
彼の話に小さく相槌を打った。
「そうなんだ。佐久間さんは家には一度帰ったみたいだけど、一条さんは会社に泊まったの。そのうちみんな倒れないか心配だよ」
コミュニティースペースのごみ箱には栄養ドリンクの空き瓶がたくさん入っていたし、今かなり限界のとこまできてるんじゃないだろうか。
「でも、東雲さんが来てくれたから、みんな癒やされますよ」
杉本くんがにっこり笑う。
そんなこと言ってくれるのは杉本くんくらいだよ。なんだか頭をヨシヨシと撫でたくなっちゃう。
彼の笑顔の方が癒やしになると思うんだけどな。
「私が？みんな目が可笑しいんじゃないかな？もう二十七歳で新入社員の子たちみたいに若くも綺麗でもないし」
化粧っ気もないし、社内でも一番枯れている女だと思う。
「その場にいて、こうして話を聞いてくれるだけでもホッとするんです。外見じゃなくて雰囲気かな」