【修正版】午前8時のシンデレラ
「一条は生憎出張で不在です。私は彼のアシスタントの東雲ですが、ご用件があれば代わりに承りますよ」
女性は値踏みするような視線で数秒じっと私を眺めると、いきなり私に抱きついてきた。
「合格よ!私の理想通り。あいつも見る目あるわね」
え?なにが合格なの?
呆気に取られて固まる私。
「あの……失礼ですが、どちら様でしょうか?」
困惑しながら尋ねたら、彼女は私から離れた。
「ああ、ごめんなさい。ちょっと感動して暴走しちゃった。私は藤宮杏樹」
美しく微笑みながらそう名乗る彼女。
さっき社内報で見た……。
「あっ、社長の第二秘書の!」
思わず声を上げてしまって、慌てて手で口を押さえた。
一条さんになんの用なの?
彼をあいつ呼ばわりするってことは、かなり親しい間柄に違いない。
考えたくないけど、ひょっとして一条さんの婚約者とか?
少し警戒するような目で彼女を見ていたら、藤宮さんは私の思考を読んだのかにっこり笑って否定した。
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