【修正版】午前8時のシンデレラ
5、王子に捕獲されました
レッドカーペットをゆっくりと歩く。
きらびやかで美しい世界。
でも、周りは知らぬ顔ばかり。
杏樹さんの行きつけのブティックと美容院を梯子してドレスに着替え、ヘアメイクをしてもらうと、タクシーでここロシア大使館にやって来た。
日本とロシアとの友好記念パーティ。
立食形式で、杏樹さんの話では招待客は三百名ほどで、政府の高官や有名企業の役員が出席しているそうだ。
彼女は外交官で眼鏡の似合うハンサムな旦那さまと大使館で合流し、一緒にロシア政府の高官に挨拶をしている。
パイプライン建設の契約が決まって一条さんたちもお呼ばれした訳だが、プロジェクトにあまり関わっていない私ひとりでは不安だ。
こんなパーティに出席するのは初めてで、心臓がドキドキしている。
靴のヒールが高くて歩き辛い。
普段履き慣れない靴を履いて、すでに血豆が出来ている。
歩く度に痛みを感じるけど、ここで躓いたらシャレにならない。
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