【修正版】午前8時のシンデレラ
明日、彼に異動願いを出そう。
いや、その必要もないか。
今、この場でお払い箱になるかも。
「……あの女性が待ってますよ。行って下さい」
私の言葉で一条さんは私の涙の理由を察したらしい。
「馬鹿だね、芽依は。あの女性は関係ない。大使のお嬢さんだけど、ただ挨拶してただけだよ」
彼の説明が信じられず、声を荒らげた。
「嘘よ!」
「俺の言うこと信じられない?なら尚更ふたりでじっくり話し合う必要あるよね?」
一条さんの瞳が私の瞳を射抜く。
今まで見たことない真剣な表情だった。
「でも、まだ挨拶が……」 
口を開くと、一条さんの人差し指が唇にあてられた。
「名刺がなくなるくらい営業したよ。佐久間、俺帰るから後は宜しく頼む」
一条さんは気配を察したのか、いつの間にか私の背後にいた佐久間さんに声をかけた。
「了解、ボス。他の男に見られたくないんだろ。今日の東雲さんの姿には俺でもドキっとする」
「これ以上見るな。見ると減る」
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