【修正版】午前8時のシンデレラ
「瑠偉だよ。名前知ってるだろ?怪我して痛いみたいだし、このまま車まで運ぶ。聞きたい事はいっぱいあるしね」
その笑顔、逆に怖いです。
私これからどうなるの?
佐久間さんが呼んでくれたのか、正面玄関の前にうちの公用車が停められていた。
一条さんに抱き上げられた私を見た運転手の佐藤さんは、茫然とした様子で車のドアも開ける事を忘れていた。
「佐藤さん、救急箱あるよね?」
一条さんがいつもの王子な笑顔で問いかけると、佐藤さんは慌てて私達のためにドアを開け、助手席に常備してある救急箱を取り出した。
「その方が怪我をされたんですか?」 
「ちょっとね。広尾の自宅まで頼むよ」
私を車の後部座席に運ぶと、一条さんも乗り込んだ。
「わかりました」  
佐藤さんは困惑していたが、職業柄それ以上の質問はしなかった。
本当は私の事を聞きたくてしょうがないはずだが、あの様子では一条さんのアシスタントとは認識していないかもしれない。
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