【修正版】午前8時のシンデレラ
「靴の心配はいいよ。相当痛いだろ?」
彼に聞かれ、コクッと頷いて返事をした。
「はい」
足が痛くて正直もう歩きたくない。
でも、そんな事より今の自分の状況だ。
広尾の自宅って?
いつの間にか車は動き出していて今からでも最寄り駅に降ろしてくださいなんて言えないよね?
また魔王が降臨しそうだ。
もう経験上わかる。
私このままだと本当に食べられちゃうのかな?
でも、そこまで覚悟出来てない。
彼に抱かれた夜はどこか夢見心地でアルコールも入ってて大胆になってただけ。今考えると絶対に無理だ。
どうしよう。
サーっと顔が青ざめていく。
緊張でビクビクしている私とは対照的に一条さんは落ち着いている。
「血を拭いて軽く消毒する。ここでこれ脱ぐ訳にいかないしね」
一条さんは私のストッキングを軽く摘まんだ。
「一条さん!」
彼に行動にギョッとして小声で抗議する。
恥ずかしい。
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