【修正版】午前8時のシンデレラ
一条さんの瞳が笑ってる。
本当、この人は悪魔だ。
私が動揺するのを楽しんでいる。
ここでキスなんかしたら、いくら死角に入っても佐藤さんにバレる。
こんな形で告白することになるなんて……。
「……ただ好きって言いたかったんです」
ついに観念して俯きながら囁きに近い声で彼に告げた。。
「もう一回」
彼の口調が心なしか優しくなる。
「そんな恥ずかしくて何度も言えません!」
私が顔を上げると、すぐそこに一条さんの顔があった。
しかも、あの夜見せてくれた優しい満面笑み。
ああ、負けだ。
私の完全敗北だ。
「……好きです」
彼の虜になった私は彼の瞳を見て告げる。
「俺も。……ごめんやっぱ我慢できないからキスする」
一条さんは耳元で囁くと、顔をずらして私の唇にそっとキスをした。
ほんの一瞬だった。
「俺も」と囁いてくれたのがとても嬉しかった。
でも、佐藤さんにはバレたんじゃないかと心臓がバクバクした。
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