【修正版】午前8時のシンデレラ
うちの会社の始業時刻は九時だけど、私はいつも八時に会社に着く。
満員電車が苦手で、いつも早めの電車に乗って通勤するからだ。
一条商事は国内外に四十社を超える支店や関連会社を持ち、総従業員数は約十二万人という大企業。
ここ丸の内にある三十七階建ての本社ビルには、九百人近い社員が働いている。
自分のデスクのパソコンを立ち上げ、給湯室のポットの準備、部長のデスク周辺の掃除、メールチェック、備品の発注等を始業時刻までに済ませる。
それが、私、東雲芽依の日課だった。
部長から呼ばれるまでは。
今日は火曜日なのに心臓がまだバクバクしている。
一条さんと寝たなんてまだ信じられない。
昨日はもっと酷かった。
頭が混乱していて全然仕事にならなかった。
長年の習慣で機械的に手を動かしていただけだ。
部長もそんな私を見ておかしいと思ったのか、『今日は早退したら?』と言ったけど、定時まで仕事をした。
< 8 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop