【修正版】午前８時のシンデレラ

「ご家族は近くに住んでる？」
私を心配してか、彼女はさらに突っ込んで質問してきた。
その質問に胸がチクッと痛んだ。
「……家族はいないんです」
家族と言える人はもういないのだ。
私は……ひとり。
そう考えただけで身体がずっしりと重く感じる。
「なら大人しくここで寝てなさい。その身体で会社に行ってもなにもできないわ。仕事の事なら瑠偉が今日は心配いらないって言ってたわよ」
諭されるように言われ、仕方なくベッドに腰掛け、自嘲気味に言った。
「でも……社会人として失格ですね」
「上司が無理させたんだから仕方ないわよ。あいつは歯止めって言葉知らないのかしら？」
この場にいない瑠偉さんの文句を言うと、彼女は私に優しく微笑んだ。
「今日は何も考えず休むこと。熱が下がれば明日会社に行っていいわ。服も靴もサイズが同じだから私のをあげる。化粧品も適当に使ってね。下着は新しいのあるから用意しとくわ」