檸檬が欲しい






「そっち側に何か用?」



え?
今何処から声が?

辺りをキョロキョロと見渡せば頭上から こっちこっち〜 と軽い声



まさか木の上?
横に立っている木を見上げれば幹に誰か座っている。



「桜を近くで見ようかと」



応えると幹に座っていた人は飛び降りた。
その途端少し風が強く吹き、桜の花弁がふわっと舞う。



まるで映画の主人公のような登場である。




飛び降りて来たのは金髪が似合う美青年だ


すらっとした背丈に長い睫毛で甘いマスクは多くの人を虜にしてしまう顔立ちであった。





こんな、綺麗な人地元では見たことない!

モデルさんか何かだろうか。
「良いの?桜の木の下は死体が埋まっているからね」

いやいや、幾らイケメンさんでも何を言うてんすか。



本当に学校の敷地に死体があったら警察が黙ってはいない。



呆れるように苦笑いで返せば金髪の青年はまじまじと見つめて来る。


薄い色素の目は離れ難くなるぐらい魅力的だ。
イケメンに見つめられこっちが照れる。




「きみ新入生?」

「あの今日から転入して来たんですけど。」




そう返せば あぁなるほど と一人納得した様子

「あの花の木は何であんなに寄せ付ける力があると思う?」

なぞなぞ?それとも理論上の話?

質問の真意がわからない。

僕は桜は春の象徴だと思うし、多くの日本人がそう思うだろう。


今や凡ゆる所にあるから珍しいものではないが、やはりあるだけで目に惹かれる。



「存在感はあるよな、答えは何です?」








「さあ」


じゃあ何で聞いてきたんだ。

イケメンのペースにどっぷり振り回される。
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