檸檬が欲しい
委員長とは?


「いや〜、委員長助かった〜。其処に置いといてくれ。」


転校して来て2週間が経った。


クラスには少しずつ慣れてきて、担任も委員長である僕を何かと頼りにして来るようになった。



けど、悩み事もある。

彼の担当教科の提出物を職員室まで一緒に運ぶ仕事を任されたときだ。

「んん??また例の3人が出してないなー」

担任はわざとらしく、かなりオーバーに提出物を睨む。


はいはい、これが本題だったんでしょ?



「鳴瀬さん、藤宮さん、矢神さん、またこの3人課題を提出してないよ。委員長何か言ってくれよ」





お前が何か言えや。





何かと逆らい難い3人の問題児をこうやって押し付けられるのが最近の悩みだ。


「藤宮さんに至ってはここ数日欠席早退が増えてる。全く彼処の叔父は何をしてるのか」



「おじ…?」


「例の教育系の行政機関の人間でありながら姪っ子をどう育てたらあんなに素行不良な少女に育つんだろうね、あっ!」


ベラベラと言いたい事全て喋ってから自分が言っていることに気づいたらしい。

随分と口が緩い教師だこと。

これでは僕たちのプライバシーが守られているのか不安だ。



しかし以前クラスの人は彼女の親が教育系の人間だと言っていた気がする。




どういうことだ?

しかもこのお喋り教師の口振りではまるで彼女は実の両親ではなく、叔父に育てられたみたいではないか。

「と取り敢えず3人に、この補修プリントを渡しといてくれ。」



そう言われて少しシワができるくらいに握り締めたプリントを渡される。


「でも、今日も藤宮さんは来てませんよ。」


「それなら藤宮さんの住所渡すから、あの子の体調を見てくるついでに頼むね。」



じゃ、僕は…と有りもしない用事を思い出したように職員室から出て行ってしまった。









いや、僕転校生なんですけど?


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