*・.・* 時間旅行 *・.・*
それからは、なるべく藤堂の動向に目を向けた。

答えを見つける為に。

原因は、直ぐにでも見つかった。

家庭に問題があることは…………一目瞭然だ。

けど………家庭が………。

相手が、経営者と上司とくると…………

家庭訪問や懇談会を行うことも出来ない。

それに

藤堂からも家庭の事情についての説明がないから………。

踏み込んで、答えを見つける術がない。

もう…………お手上げ状態だ。

おまけに。

ほとんどの生徒が、そのまま高等部に上がり。

それ以外を受験する生徒も

姉妹校なので………受験問題はそれほど大変ではないが。

それでも、初担任なので………

慣れない仕事と行事に………目が回る忙しさだった。

結果として………

それらを言い訳に、藤堂をほったらかしにしてしまっていた。

悪いと心で思いながら…………。





そんな時、尚人から電話がきて

「拓実、飲みに行くぞ。」と

彼にしては珍しく、強引に誘ってきた。

含みをもった誘いに………

藤堂の事だろうと、察しがつく。

『まだ仕事が終わってない。』と断る事も出来たが………

俺自身、毎朝教壇に立って見る藤堂の顔が

優れない事に気づいていたから………

飲みに行く事を選択した。
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