たまごまごまご、おったまげたまご
大慌てのチャドは、大きく張り出した木の根につまづいてしまいました。

「ああ!」

ぽうんとたまごが手を離れ、地面にぼとり。ぐしゃっという音がして大きなヒビが入ります。

「ああ、ぼくのたまご!」

駆け寄ると、卵の中から小さな声がしました。

「ビビ、ビビ、ぼくのたまごだよ」

ヒビが大きくなり、中からドラゴンが出てきたのです。

「ビービー!」

ドラゴンの赤ちゃんはずっとビービー泣いています。

「困ったな。ぼくのごはんがドラゴンになっちゃった」

「ビービー!」

「なんでそんなに泣くのさ」

「わかるもんか、泣きたいんだ」

「泣き止まないとビビって呼ぶよ。ビービー泣くからビビだ」

ドラゴンはぴたりと泣き止みました。

「ビビ? あんたがおいらに名前をくれるの?」

「ああ、そうさ。ビビ、泣くのはおやめ」

「ありがとう! おいらは名前が欲しくて泣いていたんだね」

「おかしなやつだ」
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