新」世界で唯一のヒーラーは生殺与奪を握っている。復讐の物語り
 アリシアはできたポーションを一つ一つ木箱に詰めていく。額から汗が滴り落ちるのを袖口で拭い、木箱を持ち上げる。そのままアリシアは小屋の横にある馬小屋まで持って行った。

 馬小屋には、栗色の毛並みをした愛馬がいる。アリシアは愛馬の頬を軽く撫でると馬はそれを許すように頬を寄せた。アリシアは手慣れた手つきで馬に鞍をつけて木箱を固定をした。アリシアは一度小屋に戻りいつものドレスに着替えた。青色ワンピースドレス。戦闘用に改良されたドレスに。それからソードを帯びて軽装の胸当てをはめて、ガントレットを装着した。

 もう一度、アリシアは馬の頬を撫でて、「行こうか」と不安そうな顔を浮かべて、馬に跨る。アリシアは馬の腹を軽くけり、手綱を引いた。目的地のドラグニール王都にあるギルド会館に向かって。

 過去の記憶から手綱を握る手に力が入る。街に行くのがまだ恐いといった感情がアリシアには残っていた。
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