新」世界で唯一のヒーラーは生殺与奪を握っている。復讐の物語り
 アリシアの口ぶりがエルザを笑いに誘う。冗談を言うアリシアを嬉しく思い、それと同時にここまで回復したのかと思うと嬉しくて力が抜けていく。エルザは大剣を鞘にしまいアリシアの肩を馬上からバンバン叩いて、
「これから街に行くのか?」アリシアに尋ねた。アリシアは叩かれた肩に手を置いて痛そうな顔を浮かべながら「そうです」と素っ気ない態度で言った。

 素っ気ないなと思いながらも悪ふざけが過ぎたと少し反省するエルザ。エルザの攻撃に一切の手加減はなかった。エルザはアリシアの剣の腕を知っていたし、錆びついていないか確認する必要があった。姉としてというよりも姉弟子として。それに剣の腕はアリシアの方に部があった。自分の腕を試すのにも持って来いの相手でもある。こうやってお互い何年も研鑽を積んできたのだった。
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