捨てられたはずが、赤ちゃんごと極上御曹司の愛妻になりました
「きっと、あの瞬間からきみに恋をした。あれが純粋な初恋かもしれない」

　イルミネーションがキラキラしている下で、彼は少し恥ずかしそうにそう言った。

「信じられない話だけど……それが本当なら、すごくうれしいです」

　まるで物語な展開に、私も照れてしまって視線を落とした。
　そこに、小さな白い箱を差し出される。

「これを真希に」
「なんですか？」

　びっくりしてすぐに手を伸ばせない。

　拓馬さんは私の手を取り、箱を握らせた。私はドキドキしながら箱を開ける。

「えっ。どうしてこれ！」
「ちょうどここのイルミネーションと同じ色だ」

　箱の中には、今日指輪を選んだショップで目に留まったブルートパーズのピアス。
　あのとき、私は特になにか口に出したわけでもなかったはず。

「気づいてたんですか？」
「なんとなくそうかなって。違ってたら、また買い直せばいいかと思ったし」

　手の中の青い石がぼやけていく。

「もう……。拓馬さん、そんなに私を甘やかしてどうするんですか。これが当たり前になっちゃうかもしれませんよ」
「いいよ。それできみを繋ぎ止めておけるなら」

　さらりと受け止められてどぎまぎするのも束の間、拓馬さんがポケットを探りだす。

「あと、これも受け取ってほしい」
「え、まだなにか……」

　戸惑う私をよそに、彼は私の左手を掬い上げ、薬指にはひと粒ダイヤの爪なしソリティアリング。
　すでにつけている結婚指輪とぴったり沿うストレートデザインで、重ね付けにぴったりだ。

　目を見開き、自分の左手を見つめてなにも言えずにいたら、拓馬さんがさりげなく薬指にキスを落とした。

「この指輪に誓う。もう二度ときみひとりで悩ませないと。家族と……きみの笑顔を守るよ」
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