捨てられたはずが、赤ちゃんごと極上御曹司の愛妻になりました
「はい」
私は再び視界を暗転させ、全神経をスマホの向こうの拓馬さんに集中させた。
そうすれば、まるですぐそばに本人がいるみたいに感じられた。
すると、拓馬さんの言葉で現実に引き戻される。
『でも生憎、今日から静岡へ二泊で出張が入ってしまって……』
パッと壁のカレンダーに視線を移す。
今日は金曜日。つまり、拓馬さんは土日も休めないってことだ。
「週末まで仕事詰めって……大変ですね。きちんと食事はとれてますか?」
『ああ。心配してくれてありがとう』
その後、数秒間沈黙が流れる。
私はこのタイミングで昨日の話を切り出すべきか迷った。
「……あの」
無言が続くのも気になって咄嗟に声をかけたものの、まだなにをどう説明したらいいか考えが纏まっていない。
『なに?』
拓馬さんに聞き返されたのもあり、冷静に考えられなくなった私は結局、口を噤んだ。
一拍置いて話題を切り替える。
「いえ。お気をつけて」
ダメだ。自分から連絡したならともかく、今回は拓馬さんからの電話だったし、急でちゃんと話せる自信がない。
私が仕切り直すつもりで電話を終わらせる流れにした直後、彼の柔和な声音が耳の奥に響く。
『真希。日曜中には帰るから、月曜日に会おう』
「えっ? でも、仕事終わるのが遅いんじゃ……」
『この土日、まともに家にいられない分、月曜に少し早く仕事を切り上げたっていいだろ?』
拓馬さんは、くすっと控えめに笑った。
「……確かに。じゃあ、月曜に。出張、頑張ってください」
通話を終え、両手の中のスマホに目を落とす。
他人がなにか言ってきたって、こうして本人と話したら、私の不安なんてかき消される。
大丈夫。拓馬さんが私を必要としてくれている限り、悪い展開にはならないはずだよ。
私だって、彼を大切に想っているし、その気持ちは変わらない。
だから、私は毎日変わらずご飯を食べて、働いて、笑顔で拓馬さんの前に会いに行けばいい。
私は再び視界を暗転させ、全神経をスマホの向こうの拓馬さんに集中させた。
そうすれば、まるですぐそばに本人がいるみたいに感じられた。
すると、拓馬さんの言葉で現実に引き戻される。
『でも生憎、今日から静岡へ二泊で出張が入ってしまって……』
パッと壁のカレンダーに視線を移す。
今日は金曜日。つまり、拓馬さんは土日も休めないってことだ。
「週末まで仕事詰めって……大変ですね。きちんと食事はとれてますか?」
『ああ。心配してくれてありがとう』
その後、数秒間沈黙が流れる。
私はこのタイミングで昨日の話を切り出すべきか迷った。
「……あの」
無言が続くのも気になって咄嗟に声をかけたものの、まだなにをどう説明したらいいか考えが纏まっていない。
『なに?』
拓馬さんに聞き返されたのもあり、冷静に考えられなくなった私は結局、口を噤んだ。
一拍置いて話題を切り替える。
「いえ。お気をつけて」
ダメだ。自分から連絡したならともかく、今回は拓馬さんからの電話だったし、急でちゃんと話せる自信がない。
私が仕切り直すつもりで電話を終わらせる流れにした直後、彼の柔和な声音が耳の奥に響く。
『真希。日曜中には帰るから、月曜日に会おう』
「えっ? でも、仕事終わるのが遅いんじゃ……」
『この土日、まともに家にいられない分、月曜に少し早く仕事を切り上げたっていいだろ?』
拓馬さんは、くすっと控えめに笑った。
「……確かに。じゃあ、月曜に。出張、頑張ってください」
通話を終え、両手の中のスマホに目を落とす。
他人がなにか言ってきたって、こうして本人と話したら、私の不安なんてかき消される。
大丈夫。拓馬さんが私を必要としてくれている限り、悪い展開にはならないはずだよ。
私だって、彼を大切に想っているし、その気持ちは変わらない。
だから、私は毎日変わらずご飯を食べて、働いて、笑顔で拓馬さんの前に会いに行けばいい。