ロミオは、ふたりいない。

「木々羅、よろしくね!」



「うん」



ドキン…



授業中

いつも遠くから見てた成瀬が

隣に来た



今まで成瀬は

私から少し離れた斜め前の席で

黒板を見ると成瀬が視界に入った



薄茶に透ける長い前髪

前髪の下から伸びるまつ毛



真っ直ぐ黒板を見るその瞳は

たぶん向かい合ったら

恥ずかしすぎて

私なら即死すると思う



時折後ろの人に笑いかける成瀬の笑顔を

私の席から見てた



成瀬が振り向くのを楽しみにしてた

目が合わないように気を付けながら



誰にでも優しくて

周りのみんなに話し掛けて

人見知りなんて言葉

彼は知らないと思う



こんな私にも

ちゃんと

よろしくね…って



ドキドキさせてくれる



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