ロミオは、ふたりいない。

体育館を通ったら

ちょうどユートも

教室に戻るところだった



「ジュリ、見に来てくれたの?」



「んー、ちょっとね…
でもすごい人で見れなかった」



「ジュリ、ちっちゃいもんね
背伸びしてて、かわいかった」



ドキン…



「あ、飲む?
ユートに買ってきた」



「ありがと!
ちょうど、飲みたかった
暑ちーーー…」



ユートはシャツでパタパタあおいだ



「いいな…」



後ろから聞こえた



「あ、成瀬も飲む?
これでよかったら…」



ミルクティーを成瀬に差し出した



「いらん…
だって木々羅のじゃん」



「でも成瀬ホントは
ミルクティー飲みたいって…」



「うん
でも今日は、その気分じゃないし
別に飲み物欲しくていいなって
言ったわけじゃないから…」



「そーなんだ…」



「ごめん、ありがと…

オレ、着替えるから先行くわ
木々羅も急いだ方がいんじゃない?
今日、日直だろ」



そう言って成瀬は走って行った



なんだろう…



「最近、成瀬、イライラしてる…」



先輩と別れたからかな?



「うん…
気にしなくていいよ

ホントは、いいヤツだから…」



「うん…」



ユートはきっと

私の何倍も何十倍も

成瀬のことをよく知ってる



そのユートが言うんだから

大丈夫だよね



気にしなくても…



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