ロミオは、ふたりいない。

「おつかれさまでしたー
明日の学園祭は
みんなで盛り上げましょう!」




「成瀬、好きな人いるの?」



教室に戻る途中

成瀬に聞いた



「…なに?…気になる?」



「さっき、言ってたから…」



「いるよ…
オレ、恋愛体質だから、常に好きな人いる」



「そーなんだ
告白しないの?」



「うん…
できたら、いいけどね…」



「学園祭の後に告白するとか?
それ多いよね!」



「んー、どーかな…」



「学園祭の前の方が
学園祭一緒にまわれるから
楽しいのにね!」



「まぁ、いいじゃん
キツイから、聞くな!」



「先輩のことまだ引きずってるとか?」



「や…
引きずるほど、好きじゃなかったし」



「え…」



「最初から別に好きじゃなかった

告られたから
付き合ってみたら好きになるのかな?って
ノリで付き合ってみたけど
やっぱ、好きになれなかった

新学期持ち込むの嫌だったから
夏休みに別れた」



成瀬って

そんな人だっけ?



「成瀬…

いつもそんななの?

いつもそんなふうに
女の子と付き合ってるの?」



「そんな…って…
別に…オレ…

まぁいいや…
木々羅さんには、わかんない…
オレの気持ち」



「うん
わかんない

ユートがもし
そんなふうに私と付き合ってたら
絶対ヤダ!」



「ユートは
そんなことしないだろうね…
オレと違って…

木々羅さんのこと大切にしてるよ

オレのこと
嫌いになった?」



「嫌いになんか…」



嫌いになんか、なってないよ

嫌いになんか、なれないけど…



「嫌いになんかなってない

別に、成瀬のこと
最初から好きじゃないし…

そぉ言われたら
成瀬だって、嫌じゃない?」



「…」



あ、言い過ぎかな…



「ごめん…

言い過ぎた…」



「…嫌いになれよ…オレのこと…

大嫌いって…言ってよ…」



「え…」



「ごめん、木々羅さん
オレ、帰るわ…

じゃあ、明日ね…」




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