ロミオは、ふたりいない。
一晩寝ても変わらなかった
私の気持ち
放課後
屋上に行った
成瀬が待ってた
「成瀬!」
フェンスから下を見下ろしてた成瀬が
振り返った
「オレも
心の準備したから、返事もらえる?
…
その前に
もう1回…
…
木々羅…
木々羅のこと
好きだよ
大好きだよ
もっと好きになりたいから…
大切にするから…
…
だから…
…
木々羅
オレと付き合ってよ」
深呼吸したら雨の匂いがした
「…ありがとう
成瀬
…
…
私ね
好きな人がいるんだ
…
片思いだけど
大好きな人がいるの
…
…
だから、ごめんなさい」
「うん…
知ってる
…
木々羅の気持ち
決まってたの知ってた
…
1日寝たら変わるかな…って
…
昼休みより
放課後になったら変わるかな…って
…
最後まで粘ったけどムリだったか…
…
かっこわりー、オレ
…
でも、それぐらい
本気だったから…木々羅のこと
…
好きだったから…
いや、これからも好きだから…
…
…
片思いしてもいい?」
「んー…」
私なんか…
「それは、オレの自由でしょ
木々羅だって勝手に片思いしてんでしょ」
「そっか…」
「オレ、気持ちの整理するから…
木々羅…先に帰って…
…
あ、ユートいたら
先帰ってもらって…」
「うん…」
「早く、雨降れよ…」
背中から
成瀬のひとりごとが聞こえてきた